まずは初めに。
昨日酔っ払って書いたので、ちょいと追記しました。
私は本作を全巻購入して読んでいます。
アニメ、映画も鑑賞しています。
あくまで主観です。
批判的な意見が多いので嫌な方はブラウザバックしてください。
ちなみに、私のバトル漫画としての理想系は「うしおととら」です。
設定過多
逆張りとかじゃなくて、単に戦闘パート作画のわかりづらさ。なんかよくわかんないけど、術式を使えば吹き飛ぶ相手。それを補う設定の過多による地の文の多さ。過度なオマージュ。幕間で解説される理屈による複雑化が、本作の難解さを加速させる。「渋谷事変」でそれが加速した。
私は「呪術廻戦0」を1番評価している。ここで終われば傑作だったと思う。
私がバカだからわからないのかもしれない。でもバカでも読めるのが漫画の良さであって、脳内設定資料集をぶち撒けられるのはあまり漫画向けでない気がするのだ。
「HUNTER×HUNTER」、「BLEACH」を意識しているのはわかる。
しかし、「HUNTER×HUNTER」は連綿と積み上げてきた漫画的バックボーンがある。説明なくとも黙らせる圧倒的な漫画力。そこに動く人間心理をもはや人間業じゃなくやってきている。読者もそれに応えて、彼の漫画を読めるように成長してしている。冨樫先生は読者を巻き込みながら世界を広げる天才なのだ。人間じゃない。まずそこを理解してほしい。
この人はおかしい。真似なんてできないのだ。明らかに冨樫先生作品だけでしか得られない何かがある。これは私の文章力では表現不能だ。申し訳ない。
「BLEACH」に関して言えば、能力なんて瑣末なものだ。カッコよく、バトルを楽しめるように情報を最低限に絞って出力している。なんかたまにポエムとかバカにされているが、これは愛だ。本作は能力バトル的には金字塔レベルの名作なのは絶対だ。ジャンプで言うなら「PSYЯEN -サイレン-」も好き。
このバランス感覚は「テニスの王子様」に近く、理屈ではない、強さ。かっこよさ。そこを追い求めた完成系なのだ。そこに説明をいれてしまうのは野暮。久保先生はそれをわかっている。絶対的な引き算感覚があるのだ。少年漫画はそれでいい。
悟空はかめはめ波の理論を説明しない。
瞬間移動、舞空術の理論を破綻なく説明しない。でもそれでも物語は問題なく進む。
過度な説明は必要ないのだ。
映画オタクの横ですべてを解説されながらみる「ショーン・オブ・ザ・デッド」は面白いと思う?私たちは瞬間的な娯楽を求めている。久保先生はその辺りで天才なのだ。決めゴマで全てを黙らせる演出力。漫画力をもっている。
能力の複雑化は物語に必ずプラスに働くとは限らない。ジョジョの奇妙な冒険は、能力が複雑な中、その能力を看破をして勝つ智略策謀がある。あれは半分サスペンス推理漫画なのだ。
これは荒木先生でしか読めない独特な画風、洋画的なシニカルなやりとりがあるから成立する。
本作は、全部それなりで、悪く言うと全部半端だ。
以前にも書いたが、「漫画」と「理」は反発しあうのだ。そこに折り合いをつける理論はいらない。そこのバランスが特に重要なのだ。
本作はそこが少し崩れ気味な気がする。
秀才による天才のコラージュ。
本作はそれをいいとこどりしているのだが、これらは要素としてあまりに強すぎる。
すべてを設定を詰め込むのはあまりに無謀な試みではないかと思うのだ。
天才たちのコラージュではどこか破綻が生じるのは当たり前のことだと思う。
術式、反転術式、領域展開、呪具、特級呪霊、死滅廻遊、あまりにも用語、ルールが多い。さらに細かな設定ルールによる、理解の複雑さと、血統で決まってしまう故のキャラクター過多に、術式内容の複雑化。イレギュラーな天与呪縛。
これは全てを理解して読まないと本作の全てを楽しめない。これはあまりに敷居が高い。
「最強」対「最強」の展開の難しさ
何より最強の「宿儺」と「五条悟」の同居の難しさ。
五条悟の存在によってのストーリーテリングの難しさがある。これをどうするかがこの漫画の全てといっていい。
途中で挟む夏油、五条の因縁を「ベルセルク」の黄金期編みたいな扱いにしたいのであれば、もう少し掘り下げが必要だと思うし、主役が五条悟、百歩譲っても乙骨でなければ成立しないのではないか。
伏黒も、虎杖も黄金期編では部外者なのだ。
パパ黒がいるから因縁というほど作中では話が練られていないと思う。(2023/11/19現在)
みんな死ぬやん
何よりも気に入らないのが、育てたキャラクターを簡単に捨ててしまうこと。
これは物語の帰結的に仕方ない部分があるというのはわかる。せめて納得いく死や散り際を用意して欲しい。愛着の湧いたキャラクターを簡単に切り捨ててしまうのは少し違う。
ラストの佳境ならまだわかる。それにしたって死にすぎているし、あまりに早すぎる。ネタバレになるから言わないが。
HUNTER×HUNTERの主要キャラで死んだ人意外といない。(ネタバレになるため明記はしない)主要キャラは誰も退場していない。ゴン、キルア、クラピカ、レオリオはみんな生きている。
BLEACHにしてもそうだ。主要キャラはみんな存命している。
この漫画、あまりにキャラクターの使い捨てがすぎる。おもしろくなるなら「どんなキャラでも殺す」というインタビューをみたが、まずそこがズレてる。
サナトリウム文学じゃあるまいし、作ったキャラクターは簡単に殺すべきではない。それは山場を作る最終局面でやることだ。
掘り下げた主要キャラを殺すのは最終手段だ。あまりに読者を軽視している。
「進撃の巨人」だって、そんなにポンポン主要キャラ殺さなかった。呪いというテーマで補完するにしても、あまりにやりすぎではないか。読者を置き去りにしてはいないか。反転術式とか、誰かの術式、領域展開で復活するの?それでは「呪い」が成立しなくないか。
人の死は瞬間風速を得るが、それは残ったガソリン、ニトロを蒸すようなもので作品の厚みはどんどん薄くなっていくと私は思っている。
アニメは最高の出来
この作品、何が評価されるかというと、アニメの出来だ。
主題歌、作画、声優。すべてがパーフェクトだ。
なんか知らんがすべてが噛み合って魅力を500パーセントくらい引き上げている。
私は「進撃の巨人」も最初は否定的だった。しかし、アニメを見てそれを帳消しにするほどの作品だったと知った。
アニメってすごいよ。(実写映画は途中でビールを買い足しに離席した。これは初めてのことである)
芥見先生はアニメ的映像を先に考え、それを紙面に落としているのかもしれない。
総評【どう畳むのか】これに尽きる。アニメは見たほうがいい。
本作はまだ未完だ。
これからこの話をどう畳むのか。
私は期待している。だから文句を言いながら漫画を買い続けているのだ。
だって五条かっこいいもん。夏油かっこいいもん。
申し訳ないが、今のままでは伏黒も釘崎も虎杖もあまりに薄すぎる。
どう話が展開していくのか。期待している。
傑作となりうるか、凡作となりうるか。
いままさに分岐点であると思う。
芥見先生でしかない得られない何かをを私は期待している。
私は本作で描かれているごつごつとした手が好きだ。