私はドがつく漫画オタクである。
漫画について語らせれば、朝方まで作品の魅力を語ることができる。
酔っぱらっては漫画の話をして飲み会で様々な人を困らせてきた困ったさんなのだ。
メジャーな漫画はそこそこ履修してきている。
なんならマーベルシネマティックユニバースの概念が起こる前からネット通販でマーベルコミックを買うくらいのオタクだ。
ちなみにデアデビルがお気に入り。
人生の書
こちらは無条件で読んだ方がいい。その辺のエンターテイメントを遙かに凌駕する面白さがあるまごうことなき名作達を羅列する。
まずこれを読んでほしい。
そして私のステータスをなんとなく察してほしい。
私の人生格言はほとんどここから得ている。
「納得」は全てに優先するぜ!
でないとオレは「前」へ進めねえッ!「どこへ」も!「未来」への道も!探すことは出来ねえ!
この言葉が私の人生のすべてと言っていい。
嘘食い
アンタ。嘘つきだね。
バトゥーキ
これは絶対記事を描く。私は最寄りのカポエイラ教室へ通う寸前までいった。
ここから下はコメントをつけていくとあまりに時間がかかるので割愛。
雪の峠・剣の舞
アイ・シールド21
ここに挙げられた者たちは割と名が知れていて、漫画好きじゃなくても知っているだろう。そんなのを私が語っても面白くもなんともない。
このブログではあえて知名度が低め(主観)な漫画を語ろうと思う。
東独にいた(全5巻…休載中)
こちらは漫画好きの飲み友達から教えてもらった漫画である。絶対に好きだからと激推しされ、その場でKindle版を購入し、あっという間に読破した。
あまりに面白くてなぜこれに出会っていなかったのかと後悔するくらいの漫画だった。
東独にいた
第二次世界大戦で敗れたドイツは、ベルリンの壁が象徴するように2つの国に分かれた。その1つ、東ベルリンに住むアナベル。秘密と恋心を抱える彼女は闘争に巻き込まれていく──。壁に隔てられた不自由で、不条理な世界。そこには真実の恋がある。
著者:宮下 暁 みやしたあきら
引用元:ヤングマガジン公式サイト
引用元URL:
https://magazine.yanmaga.jp/c/toudoku/
マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』という番組で取り上げられてこの作品を知ったという友人から薦められた。
なぜこれを選ぶかというと、完結していないから。
だからこそ広めて続きを描いてほしいと切に願っているのだ。
頼む!描いてくれ!宮下先生!2倍の価格になったって買う!
いま連載中の「ROPPEN-六篇-」も面白い!
でもこんなところで休載なんてあんまりじゃないか!
私たちの闘争はまだ終わっていないんだ!
なんども言うけどアフィとかじゃないからな。
ただのオタクの熱暴走の発散をここでしているだけなので、そこはご承知おきください。
歴史フィクションの面白さ
舞台1985年東ドイツ。東西冷戦まっただ中。
資本主義の西ドイツと、社会主義の東ドイツ。イデオロギーが衝突しあう時代。
東ドイツでは秘密警察による国民監視が当たり前に行われている。
物資は乏しいながら、監視と統制による秩序を保っていた。
そんな東ドイツの政府に対抗する反政府組織。
フレンダー率いるフライハイトが発足し、東ドイツ、西ドイツの統合を目論見、クーデターを起こす。
主人公のアナベルはそれを無力化する軍人というのが簡単な世界観。
「ウルフェンシュタイン」とか好きな私はもうこの時点でたまらない!だいたいこういうのにはトンデモ兵器なんかがでてきて、スチームパンクな武器人間とかでてきたりするんだよなクーッたまらん!
この漫画のフィクション要素というが、
神軀兵器(多目的戦闘群)の存在である。
※以下神軀兵器表記で統一。こっちのほうがかっこいいから。
ちなみにこれ以外にもたくさんのフィクション要素は用意されている。
仕掛け絵本みたいで楽しすぎるんだよ!飛び出してくるよ!
共産圏が人体実験の末作り出した兵器。
簡単に言えば超人である。
素手で人の首は落とすし、スナイパーライフルの弾丸を受けても無傷。反撃に400m先の敵に砂利を投げつけて、銃をぶっ壊したりする。
動きは早すぎて、常人には捉えられず、カメラでスローにしてやっとなにをしていたかわかるくらいの早さ。
普通の人間では、どうやっても戦闘では敵わない。
ジョーカーみたいな存在。
た、たまんねぇー!涎が止まらないよ!
こういうありそうでないことを、史実と織り交ぜて、もっともらしい説明文までつけられて、もしかしたら……と思わせる作品に私は弱いんだ。
HUNTERの水見式もやったよ。俺は特質系だった(なにも反応しなかった)
ジョジョのシュトロハイムとか、ヘルシングとかさ。スチームパンクとの親和性が高くて最高にクールよね。
ありえないけどありえた科学技術の分岐を見せてくれるワクワク感ったらない。
ゲーム「バイオショック」とかの感動感。
空想をリアルに見せる嘘。これが上手いマンガは大抵おもしろい。
ただこの手の作品の弱点。キャラクターが強すぎて後の扱いに困ってしまう。フーゴ、五条悟、ヒソカ……この辺破綻なく折り合いつけるのは難しい。
ただこの作品、その辺も上手く考えられている。
個対群の面白さ
神軀兵器は無尽蔵にいるわけではない。
東ドイツ側に数人しかいない貴重なワンマンアーミーである。
一方、反政府組織フライハイトは完璧に統率の取れた群れ。
総指揮であるフレンダーはそこを上手くつき、神軀兵器達を翻弄しながら目的を達していく。
その構図は「個対群」、「力対知」であり、一方的に蹂躙したり、されたりは起こらない。互いに身を削り、肉薄した戦闘を繰り広げるのだ。
くぅーっ!いいよねぇ!こういうのぉ!わかってるねぇ!
いくら個が強かろうが安直な勝利に結びつかない構図。
フレンダーとその優秀な部下達によって、東ドイツは煮湯を飲まされる。またこのフレンダーもかっこいいし、別の方向で超人なのよね。
むやみやたらと主要キャラを殺して退場させないまま、物語を破綻させないバランス感覚がすごい!
魅力と狂気あふれるキャラクター達
曲者だらけのキャラクター達。
命懸けで任務を達成しようとする緊迫感と、そんな中で繰り広げられる軽口を含めた会話劇。ミリタリー映画好きにはわかるだろ。不謹慎でシニカルな会話が!聞こえてくるだろ?ほら耳を澄ますんだ!
「なぁ。この弾丸がアイツの頭を吹っ飛ばすか、賭けないか?」
「お前の頭が吹っ飛ぶに100$」
「俺もそっちに賭けちまおうかな」
「……賭けにならないだろ?それ」
「掛け金はクソったれの上官に献上ってか?」
みたいなさぁああああ!
緊張と緩和がジェットコースターみたいに襲ってきて、読者とキャラクターの距離がより近くなる。
東ドイツ側も、フライハイト(反政府勢力)側も、素直に応援したくなる。矛盾してるけど。
そこにあるのはイデオロギーのぶつかり合いで、単純な善悪じゃないのだ。彼らは憎悪を超えた先で殺し合っている。
彼らは共に狂信者で、周りの死を礎として進んでいく。
人殺しはダメなんて当たり前な議論なんてやり尽くして、その果てまで超越してキャラクターは動くのだ。そんな覚悟が決めゴマでなく、淡々と話が進む中、微かな会話や表情で見え隠れするのも本作の魅力。
決めゴマや、悩みパートを作って生命倫理を思い悩むのは少年誌の仕事。
「東独にいた」はそんな覚悟ができた後の人たちの決意の物語なのだ。そこに震える。
全体的に感情を煽る描写がないのに、芯に迫る狂気。
なんか「鋼の錬金術師」を思い出す。
淡泊なのが逆にいいんだよ。演出の引き算が映画的でうますぎる。
終わらせてくれ!続きを読ませくれ!
ネタバレになるので語らないが、本作は今1番の盛り上がりポイントを迎えている。
激アツな展開になっている。
にも関わらず休載中。
連載中の雑誌がなくなって、WEB連載に移行しているみたいだが、たぶんなにやら大人の事情があるのか、別漫画での連載が始まり、東独にいたは止まってしまった。
なぜに!ホワーイ!
こんなにおもしろいのにぃー!
というわけで、ここで私からお願いをしたい。
この記事を読んで、興味がでた方はぜひ手に取って欲しい。
その元気玉があれば、ひょっとしたら完結するかもしれぬ。
まぁ、それは半分冗談で、この漫画とにかく完成度が高いから読んでみて欲しい。
洋画好き、ミリタリー、アメコミ好きにも薦められる。
未完とはいえ、5巻でこの内容はすげえよ。