ミソジノハカバ

脳内のガラクタ置き場。フィクションとノンフィクションが入り混じったカオスです。ゲームの話が多いですが、おもしろいと思ったことはなんでも書き留めます。

【日記】This is コミュニケイション!~とめどない君たち~

人には呼吸というものが存在するわけだ。

割とその呼吸ってリズムは個体差があるもんだ。

音も自分の心地よい音階とか、拍子がある。

声とか話し方ってのはやっぱり個体差があるもんだ。

 

そう考えるとこれを全部混ぜ合わせた「会話」って奥が深い。

会話にはTPOによった話し手の意図が含まれていて、それを加味しつつ、相手の個性を尊重し、共通認識の距離感を測りながら最適解を探さなくてはならない。

 

会話を単に伝達手段にとどめるだけではつまらないわけで、ただの音のぶつけ合いになる。

それではその人の上っ面しかわからない。

同じ譜面を演奏するのに慣れてきたら、互いのリズムと、音階でのセッションをするのがおもしろいと思っている。

相手に心内にぐっと踏みこんだり、離れたりしながら、互いの世界観が一瞬でも重なるのを感じたい。

 

この押し引きのリズムと、声色。間の取り方。表情。音の大きさ。

これがかっちりハマる人っていうのは話題の内容にかかわらず、心地よい存在になる。不思議なもんで、こういう人との会話は単純な天気の話でも充実した会話ができたと感じる。

逆に合わない人とは徹底的に合わない。どんなに深い話をしても、話が空転したなぁって感覚があるんだよなぁ。

 

まあ回りくどい言い回しはここまでにして、こっから適当に愚痴をぶちまけていこう。

 

職場の人たちはとても仲が良い。小さな事務所の中で、少人数で仕事をしているからか、とにかく会話が絶えない。新入りの私も気遣ってもらっていて、みんな優しい。

理想的な職場といって差し支えない。

 

仲が良いのはいいことだ。

人間関係がいいってのは業務のキツさなんかよりよほど大切にするべきことだ。

仲が良い人たちをみているのは気分もいい。

 

でも……。

会話がすっげぇ早いのよ。リズムがとても速い。

言葉が濁流のように流れていくのだ。

なんなら会話してないんじゃないかこの人たちって思う。

 

今日は事務所にAさん、Bさん、Cさん、私が働いていた。

 

Aさん「○○ってイケメンだよねぇー!主演のあの映画なんだっけ!あれ好きなのー」

Bさん「わかるー!私もあの映画好き!えーっとなんだっけ……こんな感じの話でー」

俺(あー。たしか××って映画だった気がするな)

私「あ、その映画って……」

Aさん「てかお腹すいたー。お菓子いっぱい食べたのに!」

Bさん「わたしも昨日クッキーたくさん食べた!おいしい!」

俺「ンッヒィオ……(会話に轢かれた声)」

Aさん「あっ、暑い!今日暑い!」

Bさん「すっごい汗かくよね!ハワイみたい!ハワイ!」

 

悟る俺『沈黙!! それが正しい答えなんだ!』

 

これは会話というか、脳みその中身を相手にぶつけているだけではないのか。

まぁよくもまぁこんなに怒涛に話し続けるものだと感心してしまう。

1個の話題に関して2~3やりとりしたら、もう次の話題に移行しているのだ。

こんなの話題がすぐにつきそうなものだが、この2人恐ろしいくらいに話題が尽きないのだ。

そして2人とも声が高くて、早口なのだ。

よどみないで繰り出される小気味のいい会話はもはや掛け声に近い。

あなたたちは餅でもついてんのか?

 

早すぎてたまに日本語じゃないどっかの国の言葉に聞こえたりする。

声量は市場か工事現場かと錯覚するレベルである。なんでこんなに声がでかいんだ?

国道脇で話すテンションのボリュームを事務所で披露してはならないと私は思うのだ。

 

この人たち普段からこの声量で会話してるから互いの声量で聴覚バグってしまって大声でしゃべるようになったんじゃないだろうか。会話していくうちに互いにでかい声で会話していくようにチューニングされたのかもしれん。

香水使いすぎて鼻馬鹿になって香水つけまくるみたいなさ。

 

でも本人たちはとても楽しそう。

それはそれでいいものだ。

そんなAさんとBさんが別業務のために事務所から出ていった。

 

するとずっと黙っていたCさんが間を開けて、落ち着いた声で、静かに言った。

 

「うるさいよね。ごめんね。彼ら声がでかいし、話しの内容もわけわかんないんだ。そのうち慣れて耳の中素通りしていくようになるから。いい人たちなんだけどね」

 

PCから目を離さずCさんは苦笑していた。

そういえばAさんとBさんがCさんに話かけてんのに気が付かないこと多いなと思っていたが、Cさんは会話をあきらめてノイズキャンセリング機能を強化する方向で進化していたのか。納得である。

 

「苦労しますね」

 

と私が言うと、Cさんは呆れたように笑いながら

「もっと別の事で苦労したいんだけどねぇ」

コーヒーを啜っていた。

私はこのやりとりだけなのに、Cさんと有意義な会話ができたなぁと思った。

会話って不思議なもんである。