私が人生がおかしくなるくらいはまったゲームがいくつかあるのだが、続編を切望しているゲームの1つがこの悪魔城ドラキュラハーモニーオブディスペアーである。
おそらくトッププレイヤー層といっても過言ではないくらいにやりこんでいたと思う。
悪魔城ドラキュラは息の長いシリーズで、アクションゲームとしての完成度が高く、音楽も秀逸であり、私はすぐに虜になった。
そんな中でもこの電脳遊戯はシリーズの中でもかなり異端であった。
なんと6人協力プレイが可能なのである。
ヴァンパイアハンターが四方八方からやってくるのだから、ドラキュラはたまったものじゃないだろう。ステージギミックを協力しながら解決し、ボスを倒す。1ステージは短い構成となっているのだが、キャラやスタート位置によって進行ルートもことなるため、新鮮に遊ぶことができた。
ボスを倒すと参加している全員にクリアボーナスアイテムがドロップし、そのボーナスでキャラクターを強化していくというハクスラシステムで、悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲からレベル概念を取り払ったシステムで気軽に遊ぶことができる。
このゲームはかなり個性的なつくりをしているので、ぜひ動画などでプレイを見てみてほしい。
とここまで書くと、ものすごく楽しいパーティーゲーム要素がある悪魔城ドラキュラなのだが、ふたを開けてみれば全くそんなことはなく、
本作は熟練のヴァンパイアハンターが超高速でステージを周回するレースゲームである。
当時の私は勤めていた会社を辞め、有り余る時間を武器にこのゲームをプレイしていた。金もないので、朝起きたらすぐにこのゲームを起動し、死んだ目で何度も何度も同じボスを撃破しつづけていたものである。あまりにもやりすぎて、夢の中ですらこの電脳遊戯をプレイしていたのである。
せめて夢の中でくらいヴァンパイアハンターになりたいものである。
初心者の洗礼はすさまじいものがあり、まずスタートするとキャラクターの移動速度の違いに度肝を抜かれる。テクニックとかではなく、足が速くなるアイテム「ソニックブーツ」があるかないかの違いなのだが、まずこのアイテムを入手しないとお話しにもならない。
当時私はそんなこと知りもせずにゲームをスタートし、爆速で走り回るアメリカ人がステージギミックをキャラのスキルでごり押しして通り抜け、ものの1分でボスを撃破していくのを見せつけられ、
チーター乙
と思っていたものである。それくらいスピードに差が出るのだ。マリオカート50ccと150ccくらい違う。
なぜ初心者がいるのにそんなことをするんだろう。なんて器量が狭いやつなんだ。こんなやつヴァンパイアハンターの風上にも置けない野郎だ。なんて憤慨していた。
しかし自分がやりこみ始めると、一周をとにかく短い時間で回ることを重視し始め、他プレイヤーなんて見なくなる。これは仕方のないことだ。
私は忙しいのだ(当時ニート)効率よくプレイしなくてはならない。
このゲームキャラクターも豊富で、過去作の主人公たちが選べるのだが、私はジョナサンというキャラクターを愛用していた。
見た目がかっこよく、ドラキュラシリーズおなじみの鞭で戦う主人公がイカしてると思って選んだのだが、これが大失敗であり、初めはジョナサンのせいでこの電脳遊戯を積みゲーにしていた。
無知故に起きた鞭使い選択の悲劇である。
とにかくジョナサンは育成に時間がかかり、育成しても最強行動が鉄球を軽快に振り回すという石器時代よろしくのキャラクター性能であり、「このゲームシンプルなんだなぁ」なんて思っていた。とんでもない。
ジョナサンが雑魚過ぎて、とれる行動がシンプルなだけなのである。
唯一の頼みの綱である鉄球使用中は歩くことができず、「ショーッターイッ!!」と奇声をあげながらバカでかい鉄球を振り回すのだが、
性能的にはなにもショータイムではない。むしろあいつ始めやがった……という空気が場を支配する。
またジョナサンは誇り高きベルモンド家から託されたヴァンパイアキラーという伝説の鞭があるおかげで、武器は固定となっている。
つまりこのゲームの肝である武器変更の楽しみもこのキャラクターにはない。
さらに、各キャラクターにはステージギミックでショートカットができるようなスキルが用意されているのだが、ジョナサンにはそれもない。
私も廃人レベルになるころにはジョナサンが選ばれるだけで
真面目にやってくれるか?
と思ったものである。
しかしながらジョナサンにも他キャラとは圧倒的に違う個性があり、
それはラジオチャットがやたらと元気というところだった。
陰気なドラキュラ勢の中にこの個性は光るものがあった。
ラジオチャットというのはコミュニケーションツールであり、「まかせた」「了解」などをプリセット音声でメンバーに伝えるといったものなのだが、とにかく元気がいい。なんならうるさいくらいまである。
このラジオチャットなぜかスキルなどでキャンセルができ、「まかせた!」とアッパー攻撃のタァッ!を組み合わせ、「まかせタァッ!」や、ガードスキルを使用した際の「耐えて見せるっ!」とセイヤッ!というスキルの掛け声を組み合わせ「耐えて見せセイヤッ!」など、本編には全く必要のないテクニックを使用したラジオチャット勢が大量に出現した。
この性能により、ジョナサンは一気に愛されキャラとなり、
誰かがジョナサンを選ぶと、みんなジョナサンを選び始める
という謎の現象が発生することもあった。
そうなると阿鼻叫喚である。開幕鉄球を回しながら口々に「オッケーィ!」「ホイホイホイ」といいながら紙飛行機を飛ばしまわる馬鹿が発生し、
荒れた小学校の授業風景を疑似体験できるという素晴らしいイベントだった。
この電脳遊戯はぜひ続編を作成してほしい。
ジョナサンでフィールドを駆け回り、鉄球を振り回せる日を、私は今でも渇望している。