私は考えるより先に口が動くおしゃべりおじさんである。
口は禍の元なんていうもので、よく面倒くさい思いをしていたのだが、三十路になりやっと口を紡ぐことの大切さを理解した。今では友人と話すとき以外はかなり神経を使って言葉を選ぶ。
のだが、おっさんは人懐っこいので、フランクな空気になると、すぐに油断してベラベラ話し出してしまう。
話に興がのった私のその勢い足るや、妻曰く、ピングーのようらしい。
話すからにはとにかく相手を笑わせてやろうと考えるのだが、おっさんは笑いのツボが人と合わないことが多く、よく滑る。
質のいい石鹸みたいだね。(そう、今みたいなこんな空気だよ)
私が面白いと思ったものを参考に伝達するもんだから、語彙も当然私の趣味に依ったものになる。
ここで問題が起きるのだが、私は『全人類が私と同じように生活をしている』こと前提で話をしてしまう癖があり、渾身のツッコミがそもそも成立していないということがよく起きる。
今日は社用車で後輩に業務引継ぎを行う日だったのだが、私は沈黙に耐えられず、盛大に自爆してきた。よせばいいのに必死に面白い話をしようとしては、相手を困惑させ、勝手に疲弊してきたわけだ。思い出して汗が止まらないよ。
だからウサ晴らしにこの記事を書いてる。体のいい八つ当たりである。
というわけで、おっさんが望まない人柱として、経験してきた『通じなかった言語』を共有する。書きながら血の涙が流れそう。ベヘリットのようにな。
くれぐれも皆さまは使用しないように。よく滑るので、転んで頭を打ってしまう危険性がある。
私は優しいので、過度な引用を用い(引用機能使用方法を覚えた)、使用シーンを例として提示しておく。
なに。礼なんていらない。煩雑化していく日本社会。情報を共有し、私のような悲しい人間が二度と生まれない世の中になってほしい。その一心なのでございます
ケース1:危険運転をするドライバーを発見。
①「おいおい! 世界観スリルドライブ2か!?」
名作ではあるが、いかんせん古い。世代によっては「ここはロスサントスかよ!」に変えるべきか。要検討。
スリルドライブ』は、コナミが発売したレースゲームである。なお、外国版のポスターなどでは「FAST-PACED ACTION!」と記されている。
1998年に初代『スリルドライブ』がアーケードゲームとしてリリース。その後、2001年に『スリルドライブ2』が、2005年に『スリルドライブ3』と現在3作リリースされている。
引用元:Wikipedia
引用元URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96
ケース2:飛び出してきそうな小学生を発見。
①「おいおい! ここはどうぶつの森か?」
「とびだせ」+「どうぶつの森」が通じず。
用法が同じ、「ポケモンか! おまえさんは!」に言い換えよう。
『とびだせ どうぶつの森』(とびだせ どうぶつのもり、英題: Animal Crossing: New Leaf, ACNL)は、任天堂より2012年11月8日に発売されたニンテンドー3DS用ゲームソフト。どうぶつの森シリーズの第6作目。2016年11月2日に配信された更新データによりタイトルが『とびだせ どうぶつの森 amiibo+』(とびだせ どうぶつのもりアミーボプラス、英題: Animal Crossing: New Leaf - Welcome amiibo)に変わり、2016年11月23日には同タイトルのパッケージ版も発売された。略称は「とび森」。
引用元:Wikipedia
引用元URL:
ケース3:ネイルアートを施している人物を発見。
①「あのバルログみてぇな爪で良くキーボード打てるよな?」
ストリートファイター6に実装されていないからか(たぶん違う)
バルログが通じず。ワンチャン帰国子女の可能性あり。
②「心臓うまく盗みそう」
HUNTER×HUNTERは一般教養です。知らないほうが悪い。
バルログ (Balrog) は、カプコンが製造・販売している対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。
欧米版での名称はVega。代わりに日本版におけるマイク・バイソンが肖像権の問題によりBalrogと名付けられている。
引用元:Wikipedia
引用元URL:
ケース4:面倒くさい業務引継ぎをパッションのみで行う
①「大丈夫! これ最悪ぶっぱでイケる」
②「あの人、このネタこすっとけば大丈夫」
面倒でも書類を用意し、公用語を利用しよう。Siriをイメージするとうまく伝わる。
例)「すみません。(質問内容が)よくわかりませんでした」
ケース5:ユーモアあふれる返答(ジョーク)
Q「好きな食べ物はなんですか?」
A「ガンダム」
『ガンダムは食べ物じゃないでしょ!』とは返ってこず、ただただ不審人物に。
お前もちょっとはノってくれよ。
『機動戦士ガンダム』(きどうせんしガンダム)は、1979年から放映された日本サンライズ制作のロボットアニメ。同作から創出された、バンダイナムコグループの象徴的なIP(知的財産)[1]でもある。このガンダムIPを題材にしたガンダムシリーズの第1作目であることから、「初代ガンダム」「ファーストガンダム」の名で呼ばれることも多い。
引用元:Wikipedia
引用元URL:
ケース6:コピー製品を見たとき
①「ドンバギじゃん」
布教したいので、ぜひ検索してみてね。
グミ、超うめぇ。
さて、どうだっただろうか。
コミュニケーションは相互に共通認識を探りながら、わかりやすいよう伝達させるのが目的であるからして、相手の立場に立って初めて成り立つものである。いかに引用をしようが、図解しようが、冗長になるだけで、互いの認知や理解は共通のものにはならないのだ。滑ったギャグを説明するなんて言うのはこの世で最も意味がない行為だ。
それが上記で浮き彫りになったであろう。
(意訳:引用機能使うだけですっごい頭よさそうな記事にみえない?)
受け手側がどう表現を感じ取るか。それを想像してお話をしないと、こういうおっさんピングーが出来上がるわけだ。
おっさんピングー同士で話をすると最高に楽しいのだが、おっさんピングーはおっさんピングーであることを隠して、擬態していることが多いからね。
あなたの上司も上手に隠しているだけで、おっさんピングーなのかもしれない。
そもそもおっさんピングーってなんだよ。